化学工業日報
2013年03月21日(木曜日)第2面
台湾の大手化学メーカーである和益化学工業(FUCC)の子会社でC9石油樹脂事業をグローバルに展開している聯超實業(UPM、台北市、廖嘉國総経理、写真)は、日本市場に本格攻勢をかける。未水添の「SUN-TACK」と水添の「FUCLEAR」を供給し、接着用途などを狙う。昨年8月に両社のC9石油樹脂事業をUPM側に統合。時期を合わせて国内代理店に起用したCMT日本(東京都千代田区)を通じて市場を開拓していく。現在の国内シェアは5%以下。今年は10%を目標に拡販を進める。
UPMはC9石油樹脂の専業メーカー。台湾に年産野力4万トンの設備を持ち、未水添のSUN-ACKを製造・販売してきた。一方、アルキルベンゼンやノニルフェノールを製造・販売しているFUCCは、UPMの樹脂を使用して水添のFUCLEARを供給してきたが、効率化のため昨夏、C9石油樹脂事業を子会社のUPMに集約した。
年間の国内市場規模は推定9万~10万トン。これにはC9の未水添と水添のほか、C5の未水添と水添、ジシクロペンタジエン系の水添が含まれる。主なプレーヤーはC5の未水添が日本ゼオンと東燃ゼネラルグループ、水添が米イーストマンケミカル。C9のミス店が東ソー、JX日鉱日石エネルギー、東邦化学工業、水添が荒川化学工業。ジシクロペンタジエン系が東燃ゼネラルグループと出光興産といったところ。C5では震災後に丸善石油化学が、C9では3年前に三井化学が撤退している。C5未水添は粘着テープやホットメルト接着剤向けが多く、C9未水添は塗料やインキ向けが多いという。UPMのシェアは現状で5%以下。
SUN-TACKの用途は塗料、印刷インキ、溶剤系接着剤、粘着テープ、ホットメルト接着剤、トラフィックペイントなど広範囲で、44ヶ国への供給実績を持つ。FUCLEARの用途は紙おむつや生理用品の接着用を中心にホットメルト接着剤などにも展開しており、販売先は20ヶ国を超える。
UPMは台湾、日本、シンガポールの原料メーカーと長期契約している模様。このほかにスポット調達ルートを確保するなど、フィードストックが安定している。世界大手をユーザーに持ち、品質も評価されている。代理店体制も整ったことから日本市場への攻勢に乗り出し、急速なシェア拡大を目指す。代理店のCMT日本は台湾・奇美グループの佳美貿易の日本法人。
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